右膝の痛みに悩むHさん(60歳・女性・中華料理店経営)![]()
膝関節のしくみの特徴
股間節や足関節は-方の骨がくぼみ、他方の骨がその中にしっかりはまって安定した構造になっています。
これに対して膝関節は平らな骨どうしが向かい合い、すねの骨の表面を腿の骨が滑るように動くという特殊な構造になっています。
膝関節は腿の骨である大腿骨、脛骨と腓骨、膝蓋骨(膝のお皿)の4つの骨からできており、骨どうしは靭帯、半月板などの組織によって安定性が得られています。
靭帯は内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯の4本があり、膝が必要以上にずれないようにする役目をしています。
また半月板は内側と外側に1つずつありクッションの役目をしています。
このように膝関節は4つの骨、4本の靭帯、2枚の半月板から組成されるとても複雑な構造となっています。
さてHさん、痛みで駆け込んだ病院での検査により膝内側の関節軟骨がすり減っていることと、骨の変形が始まっており骨棘が形成されつつあることがわかりました。
立っている時間が長いことや、重心が外側にかかる歩き方などが原因であると考えられます。
しかし、一度擦り減ってしまった軟骨や変形した骨を回復させることはできません。
治療目標を、「生活の中でできるだけ痛みを感じることなく過ごせるようにすること」に設定しました。
もともと東洋医学に興味のあったHさんは病院の治療をことわり、 鍼灸による治療を希望されました。
問診からは階段を下りるときにいちばんつらいこと、寒い日・雨の日に症状が悪化することがわかりました。
また膝の痛みと同時に腰痛もあり、それらは休日やお風呂に入ると緩解することがわかりましたこ。
脈は遅く尺が弱い、舌は白い苔で一面を覆われていました。
このようなHさんに対する東洋医学的治療は3つのことを中心に行われました。
1つは老化を防ぐこと、
もう1つは身体を温めること、
最後は身体の余分な湿気を取り除くことです。
治療は週に2回とし、ツボは腰、お腹、膝、手足を中心にとりました。
その間、Hさんには太ももの筋肉を鍛える運動と、食事指導をおこない5キロの減量をしていただきました。
3ケ月後には階段を下りる時に痛みを感じることもなくなり、腰も軽くなったということなので治療を終えました。
Hさんの例でおわかりのように、東洋医学ではできてしまったもの(骨棘)を取り除いたり、なくなってしまったもの(軟骨)を再びもとの状態にもどすことはできません。
しかし体力、免疫力を高めることで痛みに対する域値を上げるお手伝いができます。
つまり多少の寒さや疲れからは痛みが起こらない体質に変換するということです。
これが東洋医学の最も得意とするところです。

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